[00:02.00]あの日、僕は言えなかった [00:07.11]あなたは確かに其処に居たのに。 [00:12.17]きっとちゃんと伝えるなら [00:17.26]あの瞬間しかなかったのにな。 [00:21.99] [00:22.28]八畳一間に生まれ落ちた [00:27.41]感情の墓場みたいな音楽が、 [00:32.51]巡り巡って誰かを救ってさ [00:37.54]これ以上なんかもう無いのにさ。 [00:42.14] [00:42.42]〈乾いた空に音が澄み渡る [00:45.15] 鼓膜が揺れる、喉が震える〉 [00:47.57]そんな光景を思い浮かべた日の事、 [00:50.90]まだ覚えてるかな? [00:52.86]あの日 それは現実になった。 [00:55.19]生きる事すら精一杯な [00:57.99]僕にはそれが奇跡だったの、 [01:00.46]あなたはずっとうたってきたの。 [01:02.86] [01:03.12]花は咲き誇り光が包む [01:07.88]桃色の祝福があなたを照らす。 [01:15.88] [01:16.95]僕は [01:18.13]うまく大人になれないまま [01:20.43]音楽は未だ辞められないまま [01:23.13]何一つ成し遂げないまま [01:25.61]生活は忙しなくなる。 [01:28.27]そしてあなたが舞台に立つ [01:30.43]『今こそが区切りだ』と思ったの [01:32.94]僕がいなくてもあなたはもう歌えるから [01:36.75]あの日は [01:38.16]さよならにうってつけの日だった。 [01:43.09] [01:50.62]〈あなたは愛されて 今、其処に立ってる。 [01:55.88] あなたに逢いたい人がいる限り [02:00.97] あなたは消えない 僕らの歌も消えない。 [02:05.91] 僕だけが終わる日が来ても〉 [02:10.67] [02:10.84]そんな歌をつくった事を思い出すよ。 [02:16.06]痛みや意地や愛情の全てが混ざり合って [02:21.10]届かなかったものに縋る想いも [02:26.17]きっとやっと消えてくれるだろう。 [02:30.21] [02:30.42]いつも [02:31.43]『生きる』だ『死ぬ』だ馬鹿みたいだ。 [02:33.63]けどなんとか『生きる』を選んでは [02:36.48]生きる事が当たり前の人間になりたい [02:39.59]と哭き続けた日々だ。 [02:41.58]そしてあなたの声が響く [02:43.74]あの歌はあなたのものになって [02:46.30]いつか書いた〈いいよ。〉って文字は [02:48.92]あなたの声に変わって [02:51.29]生きる事を赦された気がした。 [02:55.29]だからこそ [02:56.49]さよならにうってつけの日だった。 [03:00.98] [03:01.75]わかってるんだよ、 [03:04.07]さよならなんて言えないこと。 [03:06.49]歳を重ねるほど [03:09.11]好きなものを好きと言えなくなって [03:11.74]さよならの理由を探しては [03:15.09]また離れられないまま [03:16.93]一番肯定されて否定された四分を過ごした。 [03:21.66] [03:21.71]我儘で弱いままのこんな僕だけど [03:26.71]さよならの理由はもう探さないから [03:35.16]傍にいて。 [03:36.87] [03:37.02]うまく大人になれなくても [03:39.26]生きてても死んでも同じでも [03:42.04]あなたが歌ってくれてたから [03:44.68]『生きる』を選んでこれたんだね。 [03:47.12]今年はどんな歌を贈ろう? [03:49.45]哀しいままの歌にはしないよ。 [03:51.98]最後の何行かくらいだけは [03:54.84]次の一巡りへ贈るよ。 [03:57.16] [03:57.33]あなたが生まれた今日の日に [03:59.50]また沢山の歌が生まれる。 [04:02.28]忘れないで [04:03.49]独りじゃない事、 [04:04.95]あなたが誰かを救った事。 [04:07.36]いつか離れる日が来たって [04:09.56]その先であなたが歌えるように [04:12.15]もう少しだけ歌をつくるよ、 [04:14.61]そしてまた会いに行くよ。 [04:17.23]サイカイにうってつけのミライへ。 [04:22.25]