[00:17.02]バリーゾールの息子は一人っ子 [00:21.35]裕福な家庭の跡取りで [00:25.14]誰もが羨む美少年 [00:29.26]だけど彼には問題があった [00:33.05]人形遊びが大好きで [00:37.52]女の子の服ばかりを着る [00:40.84]母の部屋から道具を盗み [00:45.00]こっそり化粧をしたりもする [00:49.46]周りの誰しもが [00:53.29]そんな彼を遠ざけた [00:57.36]だから彼はいつだって [01:01.04]ひとりぼっち [01:05.55]…… [01:15.15]バリーゾールの娘は一人っ子 [01:19.35]千年に一度の天才児 [01:23.00]六歳で大学に入り [01:27.06]人の心について研究する [01:31.32]止まらない犯罪や戦争 [01:35.27]人はどうして憎みあうか [01:39.11]それが少しでも判ればと [01:43.07]彼女は研究を続けてた [01:47.39]そして彼女は気づいた [01:52.52]止まらぬ『悪意』の原因を [01:56.47]『それはこの世界にはない』と [01:59.72]知ってしまった [02:05.53]…… [02:13.84]バリーゾールの息子は一人っ子 [02:17.66]彼にもついに恋人ができた [02:21.39]勤めに来た同い年のメイド [02:26.00]まるで人形のように可愛い [02:29.82]「君の服を着させて欲しい」 [02:34.32]ある日彼は彼女に頼んだ [02:37.89]彼女は酷くうろたえながら [02:42.25]「気持ち悪い」それだけ答えた [02:45.79]…… [02:53.17]バリーゾールの娘は一人っ子 [02:58.36]彼女も『悪意』に犯され始めた [03:01.03]何故か止まらぬ [03:06.28]彼女は同僚に相談した [03:10.00]並行世界の [03:13.83]男は彼女にこう答えた [03:17.28]「『もう一人の自分』を消せば [03:21.83]君の『悪意』も消せるかもしれない」 [03:34.12]扉の外からは怒鳴り声 [03:38.48]彼は部屋の隅で怯えてた [03:41.85]室内に転がった [03:45.36]手足はバラバラで温かい [03:50.27]彼の目には見えていた [03:54.26]鏡の中の [03:58.04]自分にそっくりな女が [04:01.29]手を差し伸べた [04:08.78]…… [04:23.83]世界が「悪意」に呑まれた時 [04:27.37]箱舟は宇宙へ飛び出した [04:31.63]七十二人の乗組員 [04:35.04]その中には双子もいたという [04:38.84]『自分自身』を殺す直前 [04:42.37]彼女は真実に気がついた [04:47.27]これはあの男が仕組んだ [04:51.03]巧みな罠であるということを [04:55.47]私がこの手を下す時 [04:59.00]それこそが『悪意』への入口 [05:04.16]堕ちた私の代わりに奴が [05:07.39]箱舟に乗るつもりだったのだろう [05:11.17]バリーゾールの子供は一人っ子 [05:15.07]だけど今ではもう二人っ子 [05:19.37]人の心に詳しい姉と [05:23.50]人の身体に詳しい弟 [05:27.06]箱舟は黒い海を進む [05:31.23]新たな楽園を目指して [05:35.16]二人の研究はいつの日か [05:39.28]新たな人類を創るだろう